芸人、歌手、作家、アスリート、職人、サラリーマン・・・・・・。どんな職業でも積み重ねた時間は、程度の差こそあれ、その人の自信や貫禄として標榜する。ただでさえ人よりスタートが遅かった俺は、ようやく人並になりそうなとこだったのに、一大賭けをし(当時の俺は賭けとは思わなかった)すべてを失った。大晦日にノイローゼになったのは、この3年間の己の進歩のなさ、TVに出てる人、街を歩いてる一般人、誰もが日々、ルーティンワークをこなし、全員とは言わないけど充実している。それにひきかえ、夢破れ、ムダに時間、金を失い、齢だけ食った俺は心身ともドン底に叩き込まれた。アタマの中は「あ〜、会社ヤメるんじゃなかった。」、もっと悪化してきて、
「10代のときの、あの選択が間違ってた。」、さらにノイローゼになると、
「名前が悪い、物心ついたころからメガネかけてイジメられたのが悪い、両親の過度の期待が悪い。」
など小学生レベルの被害妄想でマジ、死にたくなったんだ。6年間、営業をやり、様々なことを学んだ。楽しいこと、ツライこと色々あった。ツライ中でも、けっして暗い顔をせず豪快に遊ぶ尊敬できる先輩もいた。スタートは他人より遥かに遅かったが、そこそこ後輩もできてきた。経験値も上がり、貯えもそこそこできてきた。そこで、自分の年齢、息詰まった(行き詰った)現状を打破しようと思った。やはり営業は心の片隅で常に数字のことがチラつく。モチロン、どの世界だって厳しい。お笑いだって、TVに出てないと肩身が狭いかもしれない。アスリートも数字が悪いと解雇される。作家や漫画家だって、書きたいモノと読者の需要の乖離に苦悩するだろう。自分の好きなことに打ち込める人は幸せだ。俺は紆余曲折で培った経験で勝負を賭け完膚なきまKOされた。はっきり言って、大晦日から2008の1月3日の新幹線の中なんて、いつ自殺してもおかしくない状態だった。自分で自分を制御できず、賭けに負けた自分のダメさかげん、会社ヤメたことの後悔、普通にコツコツ生活している人に対するコンプレックス、この齢にしてまたゼロから、いやマイナスからのスタート・・・・・・。様々なネガティブな思考が永遠にループし、俺は死にたくなっていた。恥ずかしながら、数年ぶりに両親に会い、自分の気持ちを涙ながらに吐露し、ようやく平静を取り戻した。ずっと音信不通で、夢敗れ、精神が破綻した俺を親は親身に話を聞いてくれた。本来なら俺が親孝行しないといけない立場なのにさ。情けなかったけど、俺は救われた。とりあえず、生きようと思った。まずがそこからだ。